真に理解し合える者同士なんて、多分、世の中には存在しないのだ。 「どれだけ長い時間を、同じ時を、共にそばで過ごしたとしても、脳噛ネウロと解り合う日はないのよ。」そしてまたは我が輩の前で泣くのだ。漠然と諦めにも似たことを思い、この日も悔しくて泣いたわたし。ヤコ以上に。そんなわたしに、「泣くことしか出来ないのか。」とネウロは告げる。しかしヤコよりも小さく。足を組んで、踏ん反り返って。の決して大きくはない両目から流れ落ちる水分。その態度がわたしをいっそうみじめにさせる。 「ただ泣かれているだけなら、我が輩の邪魔にしかならん。慰めなどせんぞ。」出て行けと言わんばかりにわたしの荷物を投げて寄越す。これはきっと我が輩が原因で流れているのだろう。ああ、ネウロはきっと、いいえ、当然のように気が付いてはいないのね。そこまでは理解している。なぜわたしが泣くのかも、なぜわたしが悲しむのかも。だが、なにがいけなかったのだろうかが、わからない。デリカシーの無い男の一言は、女ひとりを悲しみに突き落とすには充分すぎる。ましてやどうでもいい対象からの言葉ならまだしも、少なからず好意を寄せている者からのものは、突き刺さるように痛い。そんな簡単で単純なことさえも、ネウロはいつまでも気が付かない。苛め虐げて奴隷のように扱うことは、魔界では悪ではなかった。ネウロ、あなたは直せないのね、直らないんじゃなくて。 わたしがネウロに、彼にきちんと思いを隠さずに、正直に、すべて包み隠さず言えれば問題はないの? ヤコは「少しに優しくしてあげて」と言った。 これはわたしの責任? 優しくとはどういうことだ? わたしの選択ミス? お前がよく読んでいるような漫画に出てくるような台詞を言えばいいのか? わたしが素直にさえなればいいの? 「あいしている」とはどういうことだ? |